シニア世代の習い事について、幼児教育と比較して考える
子どもたちがすくすくと伸びるのは成長のステージからして当然ですが、シニアから始める習い事もどうしてどうして、かなり伸びるものであると感じています。音楽教授を通して様々なシニア世代の方と関わって参りましたが、実際、皆様 それぞれが確実に伸びているな、と感じます。若いうちに少しでも楽器に関わっていた方ならば、なおさらです。
ドラムスタジオ・ラ・フィエスタの場合、受講可能楽器は「ドラム」「ピアノ」、それに「コンガ」あたりが中心となりますが、そのどれにおいてもシニア世代の伸びしろはまだまだ豊かである、と実感します。ちなみにその他には「オルガン」「小物パーカッション」「ボンゴ」「「ボーカル」に受け入れ実績があります。
教授する側から言わせて頂きますと、シニア世代の方々には子どもたちとは別次元の理解力が備わっているところが強みであると感じます。子どもたちと比べて、音楽への理解、練習する事の必要性への理解が概ね備わっていると感じます。それらはうまくバネとして利用するならばものすごい力を生み出します。
幼児教育とシニアへの教育、そのアプローチには大きな違いがあります。
他でどうしているかはわかりませんが、ドラムスタジオ・ラ・フィエスタの場合、両者に対してかなり違いのある方法をとって教授します。目指すところは一緒ではありますが、それを成し遂げる手法は様々な発達段階に応じて千差万別であると思うわけです。
幼児教育においては、まず「音楽をそのまま感じてもらう事」、それからなるべく「ストレートに表現してもらう事」を大切にします。具体的にはまず先生の演奏の「弾き聴かせ、叩き聴かせ」、「音楽鑑賞の実践」、それに「先生の模倣」をしての演奏、プラスの「即興演奏してもらう事」を大切にします。テクニックや音楽理論については、幼児期には特に教本を用いる事がありません。副教材として「バイエル」や「ハノン」そういったものも用いますが、それらはどちらかというと読譜力養成のために用いるのであり、ドラムスタジオ・ラ・フィエスタの場合、個人教授の特質を最大限に活かし、もう少し演繹的な手法で様々な奏法について学びます。
たとえばたいていの子は(年長~小学校低学年くらいなら)初めてレッスンに来た日に、ピアノ鍵盤の端から端まで正しい指遣いでスケールを弾けるようになって帰っていきます。テクニックの完成は、エチュードを使ってもよいけれど、本来的にはエチュードに頼るべきではない、というスタンスです。レッスンにほぼ必ずある即興演奏の中にも、例えば「アルベルティ・バス」とか、普遍性の高い手法を採り入れて行うので、あわせて読譜力を高めていけばソナチネ等、古典の簡易な曲はかなり幼いうちにもすぐに弾けるようになってしまいます。とはいえ、即興が苦手な子にそれを強要するような事はありません。
即興についてはかなり早い段階から「移調奏」を試みてもらっています。たとえばボサノバ調の、9thや13thのテンションノートを多用するコード進行で下属調転調を繰り返すような形が、かなり早い段階で身に付きます。これが出来ていると、その後ジャズスタンダードを演奏する場合、楽にオシャレなコードを押さえる事が可能となります。9thや13thを理解する事はまた、ロマン派辺りの音楽への理解にもつながります。
ソナチネ風の即興演奏なども、思い付いた短いパッセージをあちらこちら、見当を付けないまま移調して弾いてもらいますが、結構楽しいようです。また、「ラテンキューバン」のような、黒人系の遺伝子を色濃く持つリズムに対して早くから取り組む事への有効性を感じます。たとえばラテンキューバンピアノの典型的な「モントゥーノ」のリズムは、幼児でも弾く事は可能です。それはあらゆる黒人系リズムを有する音楽への、最も有効な土台となります。
あまりに幼い場合、読譜は後回しでも良い、と思っています。幼いうちにはそれよりも、美しい音やリズム、バランス、まとまり、それに正しい身体の使い方等をまずは覚えるべきではないかと考えます。考え方は色々あるでしょうが、きちんと読譜、つまり整然とした音符の連なりを読み解くには、それに適した年齢があるのではないかと感じます。適した年齢を見極め、それに適合した教育を施さなければ、その効果はあまり高くないのでは、極端な話、殆ど意味を為さずに無駄な時間となってしまうのではないかとさえ感じます。いや、それが適合している子にはそれをきちんとあたえれば良いのですが・・・そこには教師の、何をどこで為すべきか、きちんと見極める力量が必要となります。
また、余分に時間を取る事もありませんし、なるべく負担とならぬよう配慮は致しますが幼児の場合、保護者の方にも一緒に学んでもらいます。「学んでもらう」と言いましても、大した事ではありません。幼児の学習にはコミュニケーションが大切だと思うので、やや高度な理解が必要となる部分においては、レッスンに付き添うお母さんにもその内容を理解して頂く場合があります。家庭でレッスンの反復が出来れば上達がより早いであろうと考えるからです。
・・・あまりにも多く、幼児教育について語ってしまいました。
幼児への教育スタンスはそのような感じですが、シニアについては大分変わってくる部分があります。まずシニアには「智力」が備わっています。それは殆ど幼児よりも確実に。様々な教育論を目にしますが、ドラムスタジオ・ラ・フィエスタの場合、むしろ子どもたちよりシニア世代にこそ「自分で考える事」を大切にするべきであると考えています。「自分で考える事」は様々に学習や経験を積んできた大人にこそふさわしいのではないかと考えます。
ドラムスタジオ・ラ・フィエスタの場合、シニアに対しては「考えて頂くレッスン」というスタンスを重視しています。たとえば「楽譜を重用する事」・・・理解力のある大人であればこそ、楽譜もよりその存在の意味を発揮するでしょう。簡単なものから難しいものへ、そういった読譜のステップも大人にこそふさわしいものであると感じます。
シニアへのレッスンの場合、音楽理論についても身体動作の技法についても、納得のゆくまで詳しくご説明させて頂きます。実践と理論を並行させて用いるのは子どもにも可能ですが、大人にこそふさわしいのではないでしょうか。たとえば子どもと同じようにテンションノートを含んだコードを押さえるにしても、大人の場合には「コード中のこの音は、今弾いている調性におけるスケールの第何音であるか」と言う事を認識してもらいます。大人であれば殆ど誰でもこれが可能となります。ただし、時間をかければ(^^;)
同様にリズムについても、そのリズムがどのような構造であるのか、大人であれば理解する事が容易です。
シニアのレッスンでは「分析的である事」を大切にします。賢明なシニアの方々は自己管理能力に長けていますから、計画的な練習時間の確保が可能である事が殆どです。
シニアの方が「分析的、合理的な目線」に基づいて「きちんと計画的に」練習した場合、驚くべき結果が見えてきます。たとえば還暦をはさんで10年間ほど音楽教室部門に通われたMさんなどは、殆どプロと変わらない技術を身に付け、堂々とライブやコンサートで演奏しておられます。その他、多々シニアの方でグンと伸びた例を目にしています。
またシニアのレッスンでは「弾きたい曲」「弾きたいジャンル」「叩けるようになりたいリズム」を最も大切にします。子どもたちと比べた場合、どうもシニア世代の方々の方が「出来るようになりたい」というモチベーションが高いように感じておりますが、やりたい事を成し遂げる場合にその力が遺憾なく発揮されるように思います。
ちなみに青少年期の皆様に対しては、幼少期とシニア世代との中間を縫う様なかたちでレッスンさせて頂いておりますが、アタマの柔らかさと理解力を兼ね備え始めるので、この世代は確かに最も伸びるかなあ、とは感じます。ドラムスタジオ・ラ・フィエスタは、多数の音大生、及びプロミュージシャンを輩出しています。
そして、ここは最も大切な事でありますが・・・ドラムスタジオ・ラ・フィエスタのレッスンは殆ど全て「個人教授」のかたちをとっていますから、皆様のご要望に対して柔軟に対応させて頂く事が可能です。つまり、上記に挙げたようなレッスンの手法もあくまで一例であり、「個人レッスン」である限り、あくまで受講生の皆様それぞれの適性や要望に応じたレッスンと変化していくわけです。
「わざわざ対価を払って習うからには必ず上達したい」・・・そういったご要望にかなりの確率でお応えさせて頂ける音楽教室が、この「Drum Studio LA FIESTA 音楽教室部門」であると思っています。
プロを輩出するに留まる事なく、打楽器での音大受験、またピアノ科等、音大受験各科のソルフェージュにおいては東京芸大、桐朋学園大、東京音大等の名門にも複数人合格実績があり、本拠は千葉県の外房ではありますが、広く全国から学びにおいでになる方がいらっしゃいます。輩出するだけではなく、既にプロの方や東京芸大大学院卒等のアカデミックな方面からも受講される方がいらっしゃいます。また、自衛隊音楽隊へ講師招聘の実績もございます。文教大学では即興演奏についての講義を受け持たせて頂いています。